M4シャーマン (105mm榴弾砲搭載型)
【M4シャーマンとは】第二次世界大戦の米軍戦車を代表するM4シャーマンシリーズは、総計49,000台にも達する生産量を誇る戦車です。ヨーロッパでの参戦に備えて短期間で大量配備する必要から、アメリカの工業力の底力ともいうべき生産能力を有する企業を総動員し、また陸軍、海兵隊での広範囲な作戦地域への運用から4種類の異なるエンジンを搭載、その形式に応じてM4、M4A1~A4の各タイプが順次生産に入りました。その中でM4型、M4A1シリーズには、コンチネンタルR975 C4という9シリンダー星型航空機用エンジンが搭載されました。星型エンジンを戦車に搭載するという取り組みは米軍特有のもので、M4型は1942年から1945年にかけて生産されました。シャーマンシリーズは当初75mm戦車砲を搭載したタイプから生産に入りましたが、パンサーやタイガーといった強力なドイツ戦車の出現により、対戦車戦闘力を高めた長砲身76mm戦車砲を搭載し、砲塔デザインを全面的に変更した76mm砲型も大戦後半に登場しました。またこれとは別に歩兵支援の目的から105mm榴弾砲を搭載したタイプも生産されます。105mm榴弾砲型は乗員5名、75mm砲型の砲塔に類似した専用砲塔に22.5口径105mm榴弾砲を搭載し、間接照準による曲射弾道を得るため、仰角を大きくとれるように独特の形をした防盾を採用。砲弾搭載数は66発となっていますが、対戦車戦闘も想定しHEAT弾(対戦車榴弾)も携行します。105mm榴弾砲搭載型はM4型及びM4A3型のみが量産され、後期には従来の垂直スプリング式懸架装置(VVSS)に代わり、接地圧の軽減を図る幅の広いキャタピラと水平スプリング式懸架装置(HVSS)が採用されました。キットはこのHVSSタイプをモデル化したものです。M4型105mm榴弾砲搭載型のHVSS仕様は合計810輌が生産され、ヨーロッパから太平洋戦域まで幅広い戦線に登場しました。